子供の頃に教師から「俺の授業を馬鹿にしているだろ!」と殴られた、という話を書いていましたけど、これを別な側面から見てみると面白いんです。この側面だけ書いてしまうと「パワハラ教師だ!」となってしまうんですけど、私自身のことをもっと深掘りしていくと面白いことが見えてくる。

 

私は、子供の頃の成績は音楽以外は平均点以下でした(別に音楽の才能があったわけではありません)。 能力の低い人が、本人の能力にあまりにも肯定的な評価をするというのがダニング・クルーガー効果と言います。

ダニング・クルーガー効果の研究では、大学の試験で平均以下の集団が「自分の能力を過大に評価する」という傾向がありました。このダニング・クルーガー効果の研究はいろんな批判もあるのですが、私は「これ!わかる!」ってなってしまうのは、まさに成績が底辺の私がダニング・クルーガー効果を起こしていたから。

 

私は赤点しか取ったことがないのに「試験勉強をしない!」となっていました。予習も復習もしたことがないのは「勉強の仕方を知らないから」という言い訳があったのですが、実際は「私はやればできるから」と思っていたから、やらなかった。なぜか試験前に妙な自信があって「勉強しなくてもできるはず」ってこれまで赤点しか取ったことがないのに、ほとんど何もしないまま試験に挑んでしまう。そして、赤点をとってそれを親に見つかったら殴られるのがわかっているのに「私はできるはず」と自分の能力を過大評価してしまいます。

 

先生から「予習、復習をちゃんとするんですよ」と言われていたはずなのに「私はやる必要がない」と思って一切やりませんでした(痛い子じゃ〜!)。そして、先生から「大嶋!読んでみろ!」と言われた時に「自分にはできる!」と思って読み始めて、全く教科書の漢字が読めずにみんなから馬鹿にされて「わ〜ん!」と泣いて教室から飛び出していく(黒歴史じゃ〜!)。そして、先生から親に報告の電話が入って、その夜は散々親に泣かれて殴られる。でも、次の日になったら「やっぱり私ってできるじゃない?」というダニング・クルーガー効果で自分の能力の錯覚を起こしてしまうから「全く努力をしない」となっていました(あはは〜)。

 

ピアノだってそうなのよね。「練習しなくても弾ける」って勘違いしてしまうから「全く練習しない」でピアノの先生から「なんでこんな状態でレッスンに来たの?」と怒られる。多分、あの先生も「私のことを馬鹿にしているのね!」と思われていたから、私はあの時、ものすごく怒られたんだな〜。私は馬鹿にしているつもりがなくてもダニング・クルーガー効果で「自分には能力がある」と錯覚を起こしていたから「ものすごく太々しく見える」ってなっていた(太々しい=「図々しい」とか「厚かましい」という意味です)。

 

私はダニング・クルーガー効果を起こしていたから先生から言われたことを努力もしないのに「先生は私のことを全くわかってくれない」と怒っていた。

 

めちゃくちゃ恥ずかしいのですが、催眠のお師匠さんに対しても私はダニング・クルーガー効果を起こしていました。本に「ただのおっさん」と書いていますよね。催眠の講座に参加した時に、催眠なんて全くできないのに「私はみんなよりも上」と見事に錯覚を起こしていたのは、催眠療法では全くの初心者で赤点野郎だったから。だから、私は錯覚を起こして「こんなの簡単で、催眠なんて全く意味ないじゃん!」って決めつけていました。

 

でも、催眠をお師匠さんのもとで学べば学ぶほど「私って全く催眠ができいないじゃん!」と落ち込む毎日。正直な話をすると、催眠と出会ってかなりの年数が経っているのだけど「私って催眠は全然ダメダメじゃん!」と反省の毎日なんです。こんなに奥が深いものだったいうのはあの当時分かりませんでしたが、それがダニング・クルーガー効果。当時の私はダニング・クルーガー効果を起こしていたから「馬鹿にしている」と思われてもおかしくない態度をとっていたかも、と思ったら穴があったら入りたい🕳️。私はお師匠さんの前でものすごく生意気だったんですよね。

 

でも、ギフテッドのお師匠さんは「馬鹿にしている」とは受け取らなかった。お師匠さんはちゃんと私をビギナーとして扱ってくれて、ビギナーの私を褒めてくださった。ギフテッドの人って本当にすごいな、って私は心から思う。あの時の思い出が私にとっては本当の私の宝なんです。

 

生意気だった私も美しいと感じられるのは、あの美しい風景を垣間見ることができたから。