共感脳で一体感
「一体感」って、とても分かりにくいものですよね。
はっきりとした形があるわけではなく、方向を少しずつ変えながら、手探りで見つけていくもののように感じています。
では、一体感はどうやって得られるのでしょうか。
カウンセリングの場面でよく行われるのは、「相手のつらさに共感すること」です。
相手が苦しい思いをしている。
その気持ちに寄り添うことで、一体感を得ようとする。
一見すると、これが「一体感」のように思えます。
でも、ここには一つの前提があります。
それは、「相手のほうが自分よりもつらい」という前提です。
自分もつらい経験をしたけれど、相手のほうがもっと大変だ、と感じる。
この“差”を前提にした共感です。
しかし、ここに違う見方があります。
それは、「相手も自分も同じである」という前提です。
実は、この“同じである”という感覚こそが、
一体感につながっていくのではないか、ということです。
人は無意識に「違い」を作ります。
「あの人は自分とは違う」
「自分とは状況が違う」
こうした推測が働くとき、
脳では側頭頭頂接合部(TPJ)が活性化していると考えられます。
一方で、
「相手も自分も同じである」と前提にしたとき、
前外側前頭葉(F47)という、共感に関わる領域が働き始めます。
とはいえ、「こんな人と自分が同じなの?」そんな感覚が出てくるのも、とても自然なことです。
人は本能的に「自分と他人は違う」と感じやすい存在だからです。
それでもあえて、「みんな同じである」という前提に立ってみる。
すると、脳の中の情報が整理され、流れがスムーズになっていきます。
そして相手を見ていくと、少しずつ共通点が見えてくる。
そのとき、「ああ、自分も同じことをしているんだ」という気づきが生まれます。
それは否定ではなく、ただの“発見”です。
これまで人は、GABA受容体のダウンレギュレーションによって、無意識に“不幸な方向”を選びやすくなっていたのかもしれません。
でも、「あ、自分はこういうことをやっているんだ」と気づくだけで、GABAの働きが回復し始める。
すると、人は少しずつ “幸せな方向”を選べるようになっていきます。
そして興味深いのはここからです。幸せな方向を選べば選ぶほど、人との一体感は、どんどん楽しくなっていく。
いろんな人を見て、「おお、同じだ」と感じられるようになる。
その体験自体が、また自分を幸せな方向へと導いていきます。
ただし、ここで「やる気ブレーキ」がかかることがあります。
なぜかというと、「幸せになると、嫉妬される」という“罰”が、無意識に条件づけられているからです。
でも、ここでもやることは同じです。
ただ気づくだけ。
「ああ、自分はこういうブレーキを持っているんだ」
そう気づくことで、ブレーキはゆるみます。
するとまた、人は自然と幸せな方向へ進み始める。
そして一体感も、さらに深まっていく。
そんな流れがあるのではないか、と感じています。
面白いですね。これからまた、どんな発見があるのか楽しみです。