セルフネグレクトで、危険を感じる範囲が広がっていく
こんにちは。
今日も無意識の旅を始めていきます。
今日は、
「セルフネグレクトで、危険を感じる範囲が広がっていく」
ということについて書いてみたいと思います。
◇ なぜ、みんな私にぶつかってくるのか
韓国のカトリック大学の心理学研究で、人が歩いてくる短いアニメーションを見せる実験があったそうです。
社会不安傾向が強い人と、そうではない人を比べると、社会不安傾向が強い人のほうが、
「こちらに向かってくる」
「自分にぶつかりそうだ」
と感じやすかったといいます。
この話を知ったとき、私は、
「これ、わかるなあ」
と思いました。
駅の構内を歩いていると、
「なぜ、みんな私のほうに向かってくるのだろう」
と感じることがあります。
今朝、ジョギングをしているときもそうでした。
向こうから人が歩いてくると、
「どうして、わざわざこちらにぶつかってくるの?」
と思ってしまうのです。
もちろん、相手はただ自由に歩いているだけなのでしょう。
それでも私には、
「こちらが避けなければぶつかる」
「私が対処しなければならない」
と感じられます。
◇ 苦痛があると、すべてが自分に向かってくる
なぜ、このような感覚になるのでしょう。
それは、心の中に苦痛があるからなのかもしれません。
社会的な苦痛を感じていると、脳の中では外側手綱核と呼ばれる領域が関係する、と私は考えています。
社会的な痛みが強くなると、周囲の動きをそのまま人に委ねることが難しくなります。
「みんなは自由に歩いている」
とは思えなくなる。
代わりに、
「相手は私に向かってくる」
「私が何とかしなければならない」
と感じます。
周囲で起きていることを、すべて自分で背負う状態になるのです。
◇「誰にも理解されない」が、痛みを強くする
さらに苦しいのは、この感覚を人に話しても、なかなかわかってもらえないことです。
「そんなことないよ」
「考えすぎじゃない?」
「相手はあなたのことなんて見ていないよ」
そう言われてしまいます。
もちろん、頭ではそのとおりだとわかります。
けれど、体の感覚としては、本当にこちらに向かってくるように感じるのです。
その痛みを誰にも理解してもらえないと、苦痛はさらに強くなります。
もともとの社会的な痛みに、
「この苦しさまで、誰にもわかってもらえない」
という痛みが重なるからです。
◇ 痛みがあると、体の範囲が膨らんでいく
痛みが強くなると、自分の体の範囲が膨張していくような感覚になることがあります。
実際の体よりも、ずっと外側までが自分の領域のように感じられる。
少し近くを人が通るだけで、触れられたように感じる。
まだぶつかっていないのに、
「痛い」
「怖い」
と反応してしまう。
まるで、体の周囲に見えない傷が広がっていて、そこに誰かが触れそうになるたびに痛むような状態です。
そう考えると、
「なぜ、みんな私にぶつかってくるのだろう」
という感覚も理解できます。
実際に人がこちらへ向かっているというより、苦痛によって自分の危険範囲が広がっていたのかもしれません。
◇ セルフネグレクトは、痛みを感じないためにある
では、セルフネグレクトはこの状態とどのように関係するのでしょう。
セルフネグレクトは、自分の痛みを感じないようにするためのものです。
自分の感覚を無視する。
疲れていても休まない。
人のことばかり考える。
スマートフォンやニュースで頭をいっぱいにする。
そうやって、自分の中にある痛みから意識をそらします。
けれど、痛みがなくなったわけではありません。
感じないように麻痺させているだけです。
そのため、周囲の刺激に対しては、ますます敏感になってしまうことがあります。
◇ うまく避けることが解決ではない
人とぶつかりそうで怖いとき、
「もっと上手に避ければいい」
「周囲をよく見ればいい」
と考えるかもしれません。
もちろん、安全に歩くことは大切です。
けれど、本当の問題は、避け方ではないのかもしれません。
問題なのは、自分の中に誰にも理解されなかった痛みが残っていることです。
そこで私は、心の中でこう言ってみます。
「私は、誰からも理解されない痛みを、ずっとここに抱えてきたんだ。」
そして、痛んでいる場所に、心の手をそっと添えるようにします。
「怖かったんだね」
「ずっと痛かったんだね」
と、自分の感覚をわかってあげるのです。
◇ 自分の中心へ戻っていく
自分の痛みに気づいてあげると、少しずつ苦痛が和らいでいきます。
すると、外へ外へと広がっていた危険範囲が、少しずつ自分の体へ戻ってきます。
「自分の範囲が狭くなる」
というと、悪いことのように聞こえるかもしれません。
けれど、実際にはそうではありません。
周囲の人の動きまで、自分が背負わなくてよくなる。
誰かが近くを通っても、それはその人が自由に歩いているだけだと思える。
自分は自分の場所にいていい。
相手の動きは、相手に委ねていい。
そうやって、自分の中心に戻ってくることができます。
◇ 自分が中心になると、自分らしく生きられる
セルフネグレクトの状態では、自分の中心がありません。
周囲の人が何をするのか。
自分をどう思っているのか。
こちらに向かってくるのではないか。
そんなことばかりが気になります。
けれど、自分の痛みに気づき、その苦痛が和らいでいくと、自分自身の感覚が戻ってきます。
私は何を感じているのか。
私はどちらへ行きたいのか。
私は今、何をしたいのか。
それが少しずつわかるようになります。
自分の中心に戻るとは、わがままになることではありません。
他人の動きまで背負わず、自分の感覚を自分のものとして大切にすることです。
セルフネグレクトから解放されていくと、周囲の世界は以前ほど危険には見えなくなります。
そして、自分の中心から、自分らしく動けるようになっていくのだと思います。
また無意識の旅でお会いしましょう。