「図太く成長」――邪魔される恐怖を超える呪文
「さあ、勉強しよう。」
そう思った、その瞬間でした。
「宿題やったの!」
母親の怒鳴り声が飛んできます。
「今やろうと思ってたのに……。」
そう思った瞬間、やる気が消えてしまう。
部屋を片付けようと思ったときも同じです。
「なんでこんな汚い部屋なの!」
その一言で、体が動かなくなる。
「言い訳するな。」
「やらない理由を探しているだけだ。」
そんなふうに言われることもありました。
でも、本当にそうだったのでしょうか。
◇ なぜ、そのタイミングで怒られるのか
振り返ると、不思議でした。
やろうと思った、そのタイミングで必ず怒られる。
まるで心を読まれているようでした。
最近では「ミラーニューロン」という言葉があります。
人は、相手の表情や雰囲気を無意識に読み取っています。
母親がイライラしている。
その空気を感じ取って、
「勉強しなきゃ。」
と思う。
ところが、その瞬間に怒鳴られる。
そんなことが何度も繰り返されると、
「何かを始めようとすると邪魔される。」
という学習が心の中に刻まれてしまうのかもしれません。
◇ 怒られると動ける子、動けなくなる子
一般的には、
怒られると、
「やらなきゃ!」
と体が動きます。
ストレスによって交感神経が働き、行動へ向かうのです。
ところが、情緒的なネグレクトを受けてきた人の中には、逆の反応を示す人がいます。
怒られた瞬間、
体の力が抜ける。
頭が真っ白になる。
何もできなくなる。
やる気ではなく、生きるエネルギーそのものが消えてしまうような感覚です。
だから怠けているのではありません。
「動けない。」
それほど強いストレス反応が起きているのです。
◇ 応援すると負ける
私には、もう一つ不思議な感覚がありました。
好きな力士を応援すると負ける。
好きなスポーツチームも負ける。
応援していた芸能人が問題を起こす。
「またか……。」
そんな経験を重ねるうちに、
応援すること自体が怖くなっていきました。
期待すると裏切られる。
希望を持つと壊される。
だから、最初から何も期待しない。
何にも興味を持たない。
それが一番傷つかない。
そうして、知らないうちにセルフネグレクトが始まっていたのです。
◇ 今日の呪文
そこで浮かんできた呪文があります。
「図太く成長」
です。
この言葉を唱えていると、子どもの頃のことを思い出しました。
「図太い子だね。」
そんなふうに言われたことがありました。
以前なら、その言葉は悪口でした。
でも、この呪文を唱えていると、少し違って聞こえてきます。
「あれ? 私は意外と図太いのかもしれない。」
そう思えてくるのです。
◇ 根っこは揺れていなかった
表面では、傷ついていました。
怒られれば落ち込みます。
邪魔されれば腹も立ちます。
でも、よく振り返ってみると、
私は本当にやりたいことだけは、何十年も続けていました。
興味があることは、とことん調べる。
好きなことは、何時間でも没頭できる。
誰に言われなくても学び続けている。
そう考えると、
揺れていたのは枝葉だけで、
根っこはずっとそこにあったのです。
◇ 成長は止まっていなかった
「邪魔された。」
「また失敗した。」
そう思っていた出来事も、
振り返れば全部、今の自分につながっています。
遠回りだったかもしれない。
効率は悪かったかもしれない。
でも、その経験があったからこそ、今の言葉が生まれています。
そう思えるようになると、
邪魔された人生ではなく、
図太く成長してきた人生
だったのだと感じられるようになります。
◇ 今日の呪文
今日の呪文は、
「図太く成長」
です。
傷ついてもいい。
遠回りしてもいい。
邪魔されてもいい。
大切なのは、
根っこはちゃんと生きているということ。
木は、風に揺れます。
嵐にも遭います。
枝は折れることもあります。
それでも根が生きていれば、また新しい芽が出ます。
私たちも同じなのかもしれません。
図太く。
しなやかに。
そして、誰とも比べることなく、自分らしく成長していく。
そんな生き方を、無意識はいつも教えてくれているのだと思います。